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2026年10月1日

企業型DCはやらないほうがいい?メリットと6つのデメリットを導入支援の現場から本音で解説

#企業型確定拠出年金

結論:企業型DC(企業型確定拠出年金)は「入れれば必ず得」という制度ではなく、向いている会社と向いていない会社がはっきり分かれます。今後社員を雇ってチームをつくる予定がない会社なら、iDeCoなど別の選択肢で足りる場合があります。逆に、社員を採用・定着させたい会社には、社長・会社・社員の三者に効く制度です。この記事では、メリットと「デメリット」と言われる6つのポイントを並べて、天秤にかけられるようにします。

公開日:2026年10月1日 最終更新:2026年10月1日 監修:志田俊介(株式会社ウェルスゲート 代表取締役)

この記事でわかること

  • 企業型DCを「やめたほうがいい」会社の条件
  • 社長・会社・社員それぞれのメリット(積立時・運用中・受け取り時)
  • デメリットと言われる6つのポイントと、それぞれの対処法

「やめたほうがいい」と言われる理由から考える

お金の話を疑ってかかるのは、正しい姿勢です。企業型DCは、会社の状況によって向き不向きがある制度です。向いていないのは、今後社員を雇ってチームをつくる予定がない会社です。社長一人の会社でも導入できる場合はありますが、社長個人の老後資金だけが目的なら、iDeCoという選択肢もあります。逆に、現在社長一人であったとしても、社員を採用して定着させたい会社には、社長・会社・社員の三者に効く制度です。判断の手順は次の3つです。

  1. 会社の方針を確認する:今後も社員を雇い、チームをつくっていく会社かどうか
  2. メリットを自社の数字で見る:社長の退職金・社会保険料・求人・社員の税負担がどう変わるか
  3. 6つのデメリットを当てはめる:自社に当てはまるものと、対処できるものを仕分けする
動画で見る:【企業型DCはやらないほうがいい?】メリットとデメリットを本音で解説
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それでも企業型DCが選ばれる理由(社長・会社・社員のメリット)

1. 社長:自分の退職金を、会社のお金でつくれる

会社のお金を、所得税・住民税をかけずに個人の資産へ移す「お金の引っ越し」ができます。役員報酬として年74万円を受け取ると、税率によっては所得税・住民税・社会保険料で半分近くが引かれますが、企業型DCの掛金はそのまま積み立てられます。上限は月55,000円で、2026年12月(2027年1月の積立分)から月62,000円=年744,000円になります。会社が上乗せして出す掛金は全額損金です(給与の一部から出す型では、経費の額は変わりません)。給与から掛金を出す型では標準報酬月額の等級が下がり、社員・会社ともに社会保険料の負担が軽くなる場合があります(等級の下がり方次第で、必ず軽くなるわけではありません)。求人票に「退職金制度あり」と書けます。ただし、これは既に退職一時金制度をお持ちの会社ならDC導入前から書けていたことでもあります。本当の価値は求人票の1行より、面接で何を語れるかにあります。「うちの退職金は、その時が来たら会社のお金から払うだけです」としか言えないのと、「社外の信託銀行等が管理しています」と言えるのとでは、求職者の受け取り方はまったく違います。会社が掛金を出さない設計のみの場合は、求人票にその旨の併記が必要です。

2. 会社:退職金を払うときに、追加の負担がない

企業型DCの掛金は積み立てた時点で会社のお金から切り離され、社員個人の資産になります。社内積立の退職金制度では退職時に決まった額を用意する必要がありますが、企業型DCは「前払いの退職金」のような仕組みなので、退職時に会社が上乗せする負担がありません。会社の会計と切り離せる点が、経営者にとっての安心材料です。

3. 社員:積立時・運用中・受け取り時の3つの時点で優遇がある

時点何が起きるかポイント
積立時所得税・住民税がかからない最低税率でも所得税5%+住民税10%=15%相当。社会保険料も等級次第で軽くなる場合がある
運用中運用益が非課税通常は利益の約20%が課税。100万円の利益なら約20万円の差(NISAと同じ仕組み)
受け取り時一時金は退職所得控除、年金は公的年金等控除の対象一時金で受け取る場合、積立期間20年なら800万円分の控除(年40万円×20年)がつき、給与とは別に計算されます。年金で受け取る場合は公的年金等控除の対象です
志田俊介

疑ってかかるのは正解です。怪しいと思った点にひとつずつ答えていけば、自分の会社に合うかどうかは自然に見えてきます。デメリットと言われる点も、人によっては気にならないものもあれば、大きいものもあります。天秤にかけて決めてください。

デメリットと言われる6つのポイント

注意点

  • 原則60歳まで引き出せない:老後資金のための制度です。途中で使えなくて困らないよう、余裕のあるお金で積み立てる設計にします。
  • 手当金が減る可能性がある:給与から掛金を出す型で標準報酬月額の等級が下がると、傷病手当金や出産手当金の額が変わる場合があります。社会保険料の負担が軽くなることの裏返しです。
  • 運用期間中に元本割れする可能性がある:投資信託で運用するのが基本のためです。定期預金や保険などの元本確保型の商品も選べるので、値動きが嫌な人はそちらを選べます。
  • 導入に手間がかかる:就業規則の変更、確定拠出年金規約の作成、厚生局への申請書類の準備が必要です。支援会社がどこまで代行するかで負担が大きく変わります(当社はすべて代行しています)。
  • 社内の退職金制度との受け取り方に注意:中小企業の74.9%が退職金制度を用意しています。退職金と企業型DCを同じ時期に受け取ると、退職所得控除を最大限使えない場合があります。受け取り方の設計は担当者に相談してください。
  • 役員で勤続5年以下の場合は税負担が重くなる:退職所得の「2分の1」の計算が使えなくなります。55歳前後で加入して60歳で受け取る役員は、受け取り時期の設計が必要です。

よくある質問

社長一人の会社でも、企業型DCを導入する意味はありますか?

導入できる会社はありますが、今後社員を雇う予定がなく、社長個人の老後資金だけが目的なら、iDeCoなど個人で完結する制度と比べて検討するのがよいです。社員を採用・定着させたい会社ほど、効果が大きい制度です。

掛金の上限はいくらですか?

企業型DCのみを導入している場合、月55,000円です(2026年11月まで)。2026年12月からは月62,000円、年間744,000円になります。他の企業年金と併用する場合は異なります。

元本割れが心配です。

定期預金や保険などの元本確保型の商品も選べます。運用商品の選び方や配分は、導入時の投資教育で説明します。月3,000円程度から積み立てて値動きに慣れる、という始め方もできます。

まとめ

企業型DCは、メリットも「デメリット」も、人によって重さが違う制度です。今後社員を雇わない会社には向かない一方、採用・定着と社長自身の退職金づくりを両立したい会社には、三者に効く制度です。この記事のメリットと6つのポイントを天秤にかけて、社長であれば導入するかどうか、社員の方であれば加入するかどうかを判断してみてください。社長の方は、判断材料として自社の数字を出してみてください。掛金と積立期間を動かすだけで、ご自身の退職金、会社の社会保険料、求人票の3つがどう変わるか。その場で試せるシミュレーションを用意しました。入力した情報が送信されることはありません。社員の方には、社内で検討・回覧するための資料(PDF)をご用意しています。リンク先ページ内の「資料請求」からご請求ください。入力は会社名・お名前・メールアドレスの3項目だけです。

※本記事は制度の理解のための情報提供であり、特定の金融商品の勧誘を目的とするものではありません。制度の数値は2026年9月時点のものです。税務上の取り扱いは税理士・税務署にご確認ください。

監修:志田俊介

この記事の監修
志田俊介(株式会社ウェルスゲート 代表取締役)
金融商品仲介業者 関東財務局長(金仲)第1007号/所属金融商品取引業者:アイザワ証券株式会社
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